
韓国に戻るように、毎年通うことで韓国の古代からの手仕事に惹かれ続けてきました。
先史の黒曜石の時代から、隣の国の韓国とは交易で繋がっていました。日本の紙の技術も仏教とともに古代韓国から日本へ渡って来たとされ、紙は思想を伝える伝達手段としてその時代の最先端のものであったのでしょう。金属の活版印刷の技術も韓国が最古とされていて、フランスに現物が保存されています。
le son du coupleのKim Moa 氏とHuh Namhoon氏は、ソウルにある韓国の伝統的な印刷を探求し、実践する印刷スタジオと共に、韓国の伝統的な製本でアートブックを制作しました。昨年の冬、京都を旅した記録、Kim Moa氏の言葉とHuh Namhoon氏の写真が、韓国の伝統的な全州の離合紙に印刷されています。このたびの印刷は、印刷の精度を上げる為に、純紙一枚を折って二枚の紙の厚みにし、印刷後一枚にして製本されています。彼等の本は、昔、韓国にもあったような旅の詩歌の書籍のようにも感じられます。旅をして音や本を作り、またその国に戻り恩返しをするように、日本の人々をおおらかな力で癒します。それがまた韓国の手仕事を支える一力にもなり得るのでしょう。柔らかな光がさすmilletに流れる、Huh Namhoon氏の音は、二つの音が二つのスピーカーから空間を包み込むように432Hz、人体の水を振動させる宇宙の周波数で制作されています。
石井は、昨年秋に、Kim Moa氏の故郷の地に近い全州と任実の韓紙の工房を様々に訪ね、韓国の伝統的な陰陽紙をはじめ、全州と任実の地の楮で作られた様々な工房の紙と長年蒐集してきた伝統布の古い木綿と絹、石井の故郷に近い名尾和紙で包布を制作しました。手漉きの紙は、生紙にこんにゃく加工や、もみの作業を施しています。それぞれの土地の植物で作られた手漉きの紙、milletのある静原で、日本と韓国の調和、土地や文化が融合する願いが込められています、包布は刺子と綿を入れて作るヌビ(キルティング)になっています。ヌビは、綿を入れて真っ直ぐに刺子を施していくために畝のような形状になり、豊かさを願う意味合いもあるようです。包布の大きさは、日々出現する宇宙の加護の数字を寸法にして、大切なものを包む布を制作しました。

milletの入口の聞慶の韓紙に描かれた東端哉子氏の木蓮の二幅の軸が、空間を優しく見守ってくれています。