幾重 韓の白の上に   at millet

 

 

 

 

幾重

韓の白の上に

 

겹겹

한국의 흰 바탕 위에

 

Le son du couple  石井すみ子

 

 

雪の降る白い世界に包まれた辰年1月の出会いから、この日まであたためてきた今年初めての企画展示会となります。

겹겹 幾重

Le son du coupleのお二人が名付けてくださったこの言葉。いのちが巡り合う連鎖を祝福するかのようにすら感じております。

韓国ソウル在住、Le son du coupleが京都の街を歩きながら撮り納めた写真『京都』、旅の日記のように文章を綴った『京都から送る手紙』に纏わる写真を、韓紙にのせて展示いたします。また京都の旅で集録した音源を再編成し生み出した音とキム・モアの美しい歌声のライブを行います。
長年に渡る韓国の旅を通して蒐集した古木綿、古絹、古苧麻の白布、それぞれの生まれに近い土地の植物で漉かれた韓紙や和紙の生紙で制作した、石井すみ子による旅を共にする包布を展示します。

相互の旅を通して制作されたものが、Milletでこの瞬間に運命的に出会い、またそれを通じて各々の物語に繋がっていくメッセージが込められています。

 

2025年4月21日(月)- 29日(火)

11時から17時まで(最終日はLiveの時間からの入場となります)

会場  Millet     京都市左京区静市静原町1118

www.cafemillet.jp        @millet_kyoto

 

韓紙に描かれた植物画の展示
東端哉子

コチュジャンの販売
宍倉 慈(VOLVER)

Millet

期間中、韓国をイメージしたプレートランチや喫茶もご用意しております。

(ご予約優先)

ーーー

手習い会:韓国菓子ワークショップ/ 畑のフィールドワーク

北嶋 竜樹 (neutral)
4月21日(月)13:30〜16:00
内容:韓国菓子W.S / 畑のF.W
新茶を摘んで釜炒り緑茶作り : 川勝慶子 (釜戸ご飯おむすびとお味噌汁のお昼付)5000円

アンビエントクロージングLive:音の層

Le son du couple & Luca
4月29日(火)14:30開場 16:00開演
4500円(ワンドリンク付き)

各日の詳細、予約についてはMilletのwebサイトをご確認ください

 

 

福田 匠展 〜 4月13日

Flower cave(花の窟)と名付けられた絵画は、三重県の花の窟に由来した絵画。それは、その土地や神と通じるような福田氏の無意識領域での表現を最もよく表している。

そこには三つの菱形と、上には白い、下には黒い線が確信を持って描かれている。無意識で捉えられたものは、何かしら暗号のようにしてこちらの世界へメッセージを伝え、それはその瞬間にそこに写し出されて、先に時代を超えて広がりや繋がり永遠性をもたらす。

4月13日、山桜を照らす満月の日まで。

どうぞご高覧ください。

 

福田 匠展 明日より

Phenomenon

 

福田 匠 氏の絵画展が明日より始まります。

設営を終え、外へ出て場を整えていると、木蔦を絡ませた大きな枝がはじまりの合図のように大きな音を立てて降ってきた。何かからの贈り物のように感じ、それを展覧会の花迎えにすることにした。

Phenomenonと名付けられた絵画には、火球のようなようなものが描かれている。それは予知のように思えた。また過去には江戸時代、ここ京丹波のこの近くに隕石が降ってきたそうだ。福田氏は、その事象を知らないであろう。

 

Tamaと名付けられた作品は、浮遊する意識体や魂を可視化しているように見える。ひとつひとつの絵画に、スピリットを感じる見応えのある展示になっています。是非、ご高覧ください。

Tama

 

 

gallery白田企画展 福田 匠

 

 

福田氏の油彩画は、水彩画のような柔らかさ、摩滅した壁画のような色彩と独特な動きの運びと間で描かれている。絵画として現れている色は、古代から密やかに続いているかのような色彩感覚を持って表現されていることも興味深い。福田氏の絵画を通じて、容易に古代、イマ、未来へと魂が向かい、また見えない世界へも回帰していることを感じられる。日本の古代的な感覚の何か、日本人が持ち続けている奥深くに眠る無意識領域を絵画の中に彷彿とさせ、また未来を予知しているようにも感じる。日本的な微細な色彩と深い森に潜んでいるかのような移りゆく大胆な色を両立させ、人が可視化できないものを感覚的に捉え、絵画の中に構成しているようにも視える。

福田氏は、日本の神話や信仰、芸能や民俗的なもの、それらに纏わる現象が浮かび上がらせる、けむりのように揺れ動く捉え難いものを美に転換し、意識と無意識の領域を行き来しながら絵画や造形に落としこみ空間の次元を変容させている。

 

2025 年 3月29日(土)− 4月13日(日)

12:00  –  18:00   

在廊日:土、日

休廊日:4月3日、4日、9日、10日

会場:gallery白田

京都府船井郡京丹波町森山田7    tel:  0771-82-1782

www.dokkatouyu.com

from new moon, solar eclipse to full moon

_

 

近年、熊野にまつわる事柄を制作主題のひとつにしています。三重県熊野市の〈花の窟〉及び〈産田神 社〉から次作の着想を得た頃、このたびの展示のお話をいただいたと記憶しております。日本書紀では、 イザナミは紀伊国熊野の有馬村に葬られたという記述があり、その地が花の窟だとされています(古事記で は島根県安来市の比婆山)。そして花の窟からほど近い産田神社は、カグツチが産まれた場所です。イザナ ミは火の神であるカグツチを産んだ際、陰部に火傷を負い死んでしまいます。そのことに怒った夫のイザ ナギは子であるカグツチの首を剣で刎ねたのでした。すると横たわる二神の体や血から、イザナミに至っ ては吐瀉物や排泄物からさえも新たな神が次々と誕生しました。それは凄惨な現場ながらも、生と死は対 立し合うものではなく、生の中には死が、死の中には生が孕んでいるという一定の場所に留まらない流動 的エネルギーのダイナミズムを予感させる光景です。熊野はよみがえりの地ともいわれ、この物語のよう に生と死が幾層にも織り込まれた特殊な力を内包する場所です。 いつの時代も人びとはそのような力を本 能的に感じ取り、熊野という目には見えない大いなるものに畏怖の念を抱きつつも惹かれてきたのだと考 えられます。だからこそ、“蟻の熊野詣”と形容されるほど日本でも有数の一大信仰地と成り得たのでし ょう。

本展では庵にて、火、白那智、神籬、綱掛け神事、磐座、熊野灘などの魅惑的なことばを手掛かりに制 作した作品を展開し、花の窟及び産田神社周辺で採集した素材、またテーマに関連する立体物をしつらえ ます。白田では実験的、且つ即興性や身体性を重視した作品を展示します。それらはつくるということの 本質を探るような、コンセプト以前の言わば私の血や骨のようなものだといえるかもしれません。

福田 

 

 

福田   匠 / ふくだたくみ
和歌山生まれ

古くから数多ある民俗や芸能、神話、信仰など、またそれらに関連する土地や現象を主題に制作を行う。兵庫県丹波篠山、篠山城跡北東方面の外壕からほど近い通りの一角にて〈丹ゆう〉という自身の絵画や古美術、アートを展開する空間を創る。 “丹”は丹波篠山の丹、“ゆうは“熊”、 故郷が紀伊半島南部の熊野に縁が深い土地であるということ、また敬愛する南方熊楠の名の所以から。かつて慣れ親しんだ地と、今を生きる地のそれぞれ一文字をもって〈丹ゆう〉とし、自身の美の意識を追求する実験的な場とする。

gallery白田 4月営業日

 

12:00 – 18:00

1日(火)2日(水)5日(土)6日(日)7日(月)

8日(火)11日(金)12日(土)13日(日)

1日 – 13日は福田 匠展を開催しております

 

19日(土)20日(日)26日(土)27日(日)

常設展示

 

石井直人 「玄韻」 at kankakari

 

石井直人 「玄韻」

2025. 3. 15 sat – 30日sun

時間 13:00-18:00

休館 水曜日

在廊 15, 16

陶芸家・石井直人氏の個展を開催いたします。

石井さんの作陶は、私にとって最も捉え難く、心惹かれる現象の一つであり、その神秘に迫りたく数年越しで本展の企画を温めてきました。

幽寂に包まれた京丹波の山麓、そこに建つ古い茅葺の民家と母胎を思わせる大きな登り窯。「独華陶邑」という名の空間で氏が手掛けるのは、日常の器や土鍋、窯変の壺や茶盌、抽象•具象の造形物など多岐に渡り、すべては年に一度しか焚かないという登り窯にて焼成されます。それらは用の有無に関係なく、長年に渡るその土地とのエネルギー交感の賜物であり、土と火の現象と氏の精神性が、固有の振動として生き生きと器胎に映し出されているように感じるのです。「玄韻」(くろひびき)における「玄」は単なる黒にあらず、世界の深淵や宇宙の根源にある真理を指し示し、「韻」は或る音楽家が氏のやきものから音を感じると語ったことに由来します。それは、窯内でしんしんと灰が降り積もり生まれる「窯変」による瞑想的景色と重なる一方、まるで「いきもの」であるかのような生命感に満ちた器にも通じているように思います。

「道具を作り続けることで何かが抜け落ちるような瞬間がある」と語る氏が追い続けるのは、技巧や形、古典をなぞることを超えたその先の領域で、作り物ではない真の「芸術」の現れるその瞬間に立ち会うことではないでしょうか。

本展では、過去作から近作まで300点以上の作品を、kankakari 母屋と納屋の二会場にて展示致します。氏の器を日常的につかう喜びとともに、深い精神性を讃える作品を感じて頂けましたら幸いです。

 

kankakari
京都市北区紫野下築山町15
070-1871-1010
www.kankakari.com

 

石井直人
1954 京都生まれ
1980 広島大学総合科学部卒業
1981-83 広島県山縣郡戸河内町小板にて農耕生活
1984-87 伊賀「土楽陶苑」にて修行
1992 京都・京丹波町に原野を取得 開墾を始める
1993 同地に「独華陶邑」「懐玄軒」を建設
1994 登り窯を築く 古民家移築 初窯焼成
1994~ 各地のギャラリーにて作品を発表

 

 

Naoto Ishii solo exhibition

“Kuro-Hibiki”

2025. 3. 15 sat – 30 sun

13:00-18:00

closed on wednesdays

We are pleased to present a solo exhibition by ceramic artist Naoto Ishii.

For me, Ishii’s pottery is one of the most elusive but captivating phenomena. Drawn to its mystery, I have spent years nurturing the idea of this exhibition.

Nestled in the tranquil foothills of Kyotamba northwestern of Kyoto stands an old thatched-roof house, alongside a climbing kiln that evokes the image of a mother’s womb. In this site named as Dokkatouyu (独華陶邑), Ishii creates a wide range of works, from everyday tableware and earthenware pots to kiln-altered jars, tea bowls, and both abstract and figurative sculptures. They are  fired in the climbing kiln only once a year.

Regardless of whether it has a use or not, these works are the result of a long-standing exchange of energy with this land. I feel the phenomena of earth and fire, combined with the artist’s own spirituality,

are vividly expressed as vibrations in each vessel.

The term Kuro-Hibiki (玄韻) carries profound meaning.Kuro (玄) is not merely black—it points to the depths of the world and the fundamental truths of the universe. Hibiki (韻) derives from a remark by a musician who once sensed sound emanating from Ishii’s works. This concept is expressed in the contemplative landscape of kiln-formed changes created by ashes falling in the kiln, as well as in his works that are full of life like living creatures.

“There is a moment when something seems to fall away through the continuous act of crafting tools like vessels ”—this is what he speaks of. 

What he pursues is a realm beyond mere technique, form, or the reproduction of classical traditions. Perhaps his true aim is to witness the very moment when genuine “art,” not just a crafted object, emerges.

This exhibition will feature over 300 works, spanning from past creations to recent pieces, displayed across two venues: the main house of kankakari and a newly renovated barn. 

We hope you’ll enjoy vessels that bring the joy of everyday use and works that evoke a deep sense of spirituality.

Ryo Suzuki (kankakari)

 

Naoto Ishii

1954 Born in Kyoto

1980 Graduated from Hiroshima University, Faculty of Integrated Arts and Sciences

1981–83 Lived a farming life in Hiroshima 

1984–87 Trained at Doraku Touen in Iga

1992 Acquired undeveloped land in Kyotamba, Kyoto, and began cultivation

1993 Established Dokkatouyu and Kaigenken on the site

1994 Built a climbing kiln, relocated an old house, and held the first firing

1994– Presenting works at galleries